伊勢南街道(和歌山街道)の町並み/街道沿いの井戸
[2019年5月15日]
伊勢南街道は、和歌山県から奈良・三重県境の高見峠を越えて、三重県松阪市へ向かう和歌山街道の別称です。大淀町では、吉野川北岸に沿って東西に通じる、佐名伝地区から増口地区までの約10kmがそれにあたります。
江戸時代には、越部地区に本陣と脇本陣、土田地区に伝馬が設けられていました。増口地区はその町並みに、当時の街道の歴史的景観をとどめているところです。
江戸時代の半ば頃から、「おかげまいり」と称して熱狂的な伊勢参りが流行しましたが、伊勢南街道もその旅人たちで賑わったようです。比曽地区の天照大神宮や中増地区の小幡神社にある、「おかげ」と書かれた石灯籠をはじめ、その名残は町内各地に残っています。
増口の水分神社は、この街道のシンボルといえます。高く傾斜の強い階段には、「比曽石」と呼ばれる地元の石英安山岩がふんだんに使われています。
増口地区の町並み
水分神社の鳥居の脇にある椿の井戸は、町内の下渕地区新町にある神明の井戸(現在はマンホールで閉じられています)とともに、江戸時代の享保年間(1716-1735)に刊行された旅行案内書『大和志』にも、その名前が記されています。これらは、街道沿いに旅行く人々の喉をいやしたことでしょう。
水分神社と椿の井戸(階段の右脇)
業務時間:午前8時30分~午後5時15分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)